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況等、不安定な要素が多く実用的ではない。最近の高速ディーゼルカーを見ると、JR北海道の283系ディーゼルカーでは、非常減速度を4.7km/h/sに設定している。
この実績から、新スプリンターの非常減速度を4.2km/h/sと設定すれば最高速度は150km/hまで向上できる。
(d)滑走再粘着装置の採用
制動動作を確実にするために、雨天等で車輪が滑走しても、直ちに車輪を再粘着させる滑走再粘着装置を各軸に備えることが有効である。
5)車体傾斜装置
強制振り子式は、先頭車両のジャイロで曲線を検知するため、先頭車両の車体傾斜が困難であること、“S”字状の連続する急曲線に対する制御が難しいこと、また緩和曲線が整備されていない場合は、急激な傾斜動作を引き起こす恐れがある。
新スプリンターは、両先頭車両とも客車であること、SRT北線には“S”字状の連続する急曲線が多いこと、また概ね緩和曲線が整備されているが、曲線改良の際、緩和曲線が適切にとれない場合も考えられる。
以上のことから、制御付き自然振り子式が好ましいと考える。(図4・2−2参照)
(5)新スプリンターのメンテナンス
構造的に新スプリンターと現行のスプリンターを比較した場合、大きな相違点は振り子機構のみである。
振り子機構のしくみは(図4・2−2,3)に示すように、車体を受ける支持装置、傾斜用の油圧シリンダー、そして曲線データを記憶し、傾斜指令を与える「指令制御器」と「傾斜制御器」から成る。
これらのメンテナンスについては、機械関係については現行のSRTのメンテナンス設備、技術で十分対応できるものと見られる。
「指令制御器」と「傾斜制御器」については、マイクロコンピュータを使った電子機器であるため、基本的にはメンテナンスフリーであると思われる。

 

 

 

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